アイスランドのかいぶつ絵本シリーズ(全5巻刊行予定)
シリーズ「おおきいかいぶつとちいさいかいぶつ」


左から、『ちいさいかいぶつの<いやだ!>』(2024年邦訳予定)、『おおきいかいぶつはなかないぞ!』(既刊)『まっくらやみのかいぶつ』(既刊)『かいぶつかぜ』(既刊)、『かいぶつのおきゃくさま』(2024年邦訳予定)
  1. プロローグ
  2. 「おおきいかいぶつ」と「ちいさいかいぶつ」誕生秘話
  3. 3人の原作者たち
  4. シリーズ受賞
  5. 翻訳者・朱位昌併さん
※なお、絵本ナビに原作者インタビューを掲載中

1.プロローグ


南東部の氷河・ブレイザメルクルヨークトル(Breiðamerkurjökull)
【撮影:朱位昌併】

火と氷の国と呼ばれるアイスランド。火山が点在し、国土の一割が氷河に覆われた島国アイスランドとその周辺地域が、かいぶつ絵本シリーズのふるさとです。

「おばけ」とも「かいぶつ」とも「妖怪」とも訳すことのできるアイスランド語のskrímsli「スクリムスリ」は、豊かな自然の中で人間のすぐ近くに棲みついてきたと言われる不思議な存在。アイスランドと周辺地域で伝えられてきた「スクリムスリ」が、3人の原作者によって。ゆかいな絵本に生まれ変わりました。

2.「おおきいかいぶつ」と「ちいさいかいぶつ」
誕生秘話

2001年スウェーデンのメーラレン湖に浮かぶ1000を超える島々のひとつ、ビスコプス・アーヌー島で、北欧の作家と画家が参加するワークショップが開かれました。このとき原作者3人は出会い、「おおきいかいぶつ」と「ちいさいかいぶつ」の絵と物語が生み出されます。「ドアをたたく音がする」というワークショップ課題をうけて、「おおきいかいぶつ」が「ちいさいかいぶつ」のドアを叩くストーリーが生まれたのです。


2001年ワークショップにて、わずか数時間で制作された「おおきいかいぶつとちいさいかいぶつ」第1巻(『ちいさいかいぶつの<いやだ!>』)の原案
30.5 cm x 14.5 cm, 14 ページ

3.三人の原作者たち


【原作者:写真左から】カッレ・ギュットレル(文/ スウェーデン)、ラーケル・ヘルムスダル(文/ デンマーク領フェロー諸島)、アウスロイグ・ヨウンスドッティル(文・絵/ アイスランド)

絵本の中の「おおきいかいぶつ」と「ちいさいかいぶつ」は、いつも泣いたり笑ったりケンカしたりして大いそがし! そして、カラフルで元気いっぱいの絵とストーリーを生み出しているのは、 三人の原作者たちです。3人は常に共同で創作しながら、アイスランド語、スウェーデン語、フェロー語の三カ国語で同時にストーリーを書きつづります。「(三カ国語のテキストの)いずれも がオリジナル。翻訳ではありません」(アウスロイグHPより)

4.シリーズ受賞

アイスランド語、スウェーデン語、フェロー語を原書とする同シリーズは、世界13カ国語に翻訳されています。近隣北欧諸国では、「おおきいかいぶつ」と「ちいさいかいぶつ」を知らない子はいないほどの定番絵本!
また、同シリーズ既刊10巻の受賞はそれこそ数え切れません。

  • アイスランド本屋大賞(児童文学部門)
  • アイスランド文学賞(児童文学部門)
  • スウェーデン児童文学賞(Bokjuryen 2008 銀賞、Bokjuryen 2010 銅賞)
  • フランス児童文学賞(Prix des Incorruptibles 2012 銅賞)
  • IBBYオナーリスト(画家賞2016)
    その他受賞ノミネート多数。

5.翻訳者・朱位昌併さん

「おおきいかいぶつとちいさいかいぶつ」絵本シリーズを訳して下さっているのは、アイスランドの首都レイキャヴィーク在住の朱位昌併(あかくら しょうへい)さん。朱位さんはアイスランド大学大学院でアイスランド文学を研究するほか、文学作品の翻訳やアイスランド語-日本語辞書の編纂にも携わっています。 「おおきいかいぶつとちいさいかいぶつ」絵本シリーズが日本で出版されるよりもずっと前から、アイスランドと日本の双方にルーツをもつ子どもたちのために、同シリーズの絵本の翻訳・読み聞かせをしていたそうです。
朱位さんの翻訳では、『さむがりやのスティーナ』(平凡社2021)もとっても素敵な絵本です。このほか、『ボウヌス詩篇(仮題)』(ヴィグディス・フィンボガドッティル外国語研究所、2023刊行予定)など、翻訳や翻訳協力、監修等多数。